聖人カン・ケイ師の教え#2~ 二岡選手と山本モナ
師は炎天下の野球観戦がお好きだ。
弟子たちは「師は苦行されているのだ」と噂しているが、どうやら師が以前されていた仕事に関係があるようだ。
この日も師は弟子数人をお連れになって、炎天下の野球観戦に出かけられた。
師は玉の汗をかき、うっすらと微笑みながら、フィールドのボールを目で追っておられる。
弟子の一人が師に問うた。
「師はどちらのチームを応援されているのですか?」
師は質問の意味が分からないというようなお顔をされ、「私は野球を観ているのであって、応援しているのではない」とお答えになった。
「けれども、どちらかのチームに肩入れをしなかったら、面白くないのではありませんか?」
「面白い?私は充分楽しんでいる」
「しかし・・・」
師はセンターポールに翻る日章旗のその先を見るような目をされて、口を開かれた。
「あなたは、試合の結果が気になるのですね」
「はい。私はオレンジ色のチームのファンなのです」
「大切なのは、結果ではありません。人には避けられない運命があります。どんな人にも等しくやってくる結果とは何だと思いますか」
「・・・死・・・でしょうか」
「そうです。オレンジのチームが勝っても、ブルーのチームが勝っても、それはどうでもいいことです。その過程にこそ面白さがあるのです」
弟子たちは師の深遠なお言葉にひれ伏すような心持ちだった。
「モナオカー」という野次が聞こえた。
師の耳にも届いたようである。
師は弟子の一人に訊いた。
「今の選手は二岡という選手ではありませんか?なぜモナオカと呼ばれるのでしょうか?」
弟子の一人が二岡選手と山本モナというタレントの醜聞を師のお耳に入れると、師は不機嫌そうな表情をされた。
弟子の一人がこの醜聞について、師に問うた。
側近の一人が「そのようなことに師はお答えになりません」と制したが、師は鷹揚にうなづきながら、お言葉を発せられた。
「二岡選手は繁殖の機会を得ようとしただけである。それは当たり前のことで、責められるべきことではない」
「それでは・・・」弟子の一人が師に問うた。
「悪いのは山本モナなのでしょうか?」
「男は種を蒔きたがる。どの男の種を宿すかは、女の判断にゆだねられている。女は生き残る種を選別するという役目があるから、強い男の種を宿そうと思うのは、責められるべきことではない」
弟子の一人が憤慨したような調子で師に迫った。
「二岡選手は妻帯者であり、山本モナはキャスターという立場です。ふしだらなのではないでしょうか」
野球の試合はまだ途中であったが、師は立ち上がった。
深いため息をついて、師はおっしゃった。
「人は増えすぎたのかもしれない・・・」
帰途、師は側近と弟子に今日の師のお言葉が、師の奥様に伝わることのないようにすることを厳しく命じられた。
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