パパの出来ること
最近、娘の頭を撫でようとすると、「やめて」とちょっとキツイ口調で言われるようになった。そう言われても、パパの楽しみのひとつだから、「ハイ、そうですか」と引き下がるわけにいかない。
パパが帰ってくると、娘は待ちかねたように「(トランプゲームの)スピードをしよう」と誘う。ついこの間まで娘はパパにまったく歯が立たなかった。ところがやがて勝ったり負けたりになって、最近は、パパが負けることが多くなった。
実力が拮抗している相手との勝負は楽しい。それがついこの間まで歯が立たなかった相手だから、なおさら楽しいのだろう。
パパは条件を出す。
「いいよ。但し、1回だけ。パパが勝っても負けても頭を撫で撫でさせてもらう。いいか?」
娘は少し考える。
「うーん・・・。いいよ。やろう」
娘がミニバスをやりたいと言ってきたのは、昨年の3月。4月から4年生になるというときだった。
仲のいい友だちに誘われたからだという。
ミニバスの練習は、火曜日、水曜日、金曜日の授業が終わってから、19時ころまで。土曜日は午後から17時ころまで。
月曜日、木曜日、日曜日は基本的にお休みだけれども、月曜日はスイミング、木曜日は英語の教室に通っているから、休みは日曜日だけになる。
その日曜日も、ミニバスの試合、練習試合、遠征でつぶれていく。
熱心に指導してくれるコーチ、サポートしてくれるマネージャー、父兄の方々には頭が下がるけれども、少し寂しい思いがする。
娘はミニバスの練習や試合にパパが来ることをあまり歓迎しない。
「どうしてだろう」
酒の席でそんな話をした。
「女の子って、自分の成長が誇らしいようで、気恥ずかしいようなところがあるのよ。特に男親に対してはね」
同年輩のチーママが言うと、20年来の友人はカッカッカッと笑って、「そんな難しいことじゃない」と言う。
「お前のことだから、試合を観た後、娘さんに精神論をぶつだろう。それがわずらわしいんだ。それだけだよ」
そういえば・・・。
「たくさん練習をした奴が勝つ」とか、「ボールに対して、もっとアグレッシブにならなけりゃダメだ」とか、「もっと自分で決めるという意識を持て」、「積極的に切り込んでこそ道は拓ける」とか言ったなぁ。
ママは高校時代バスケットボールをやっていた。
パパは県大会で優勝するようなレベルの仲間たちと3on3で遊んでいたけれど、ルールもポジションも、戦略・戦術も良く知らない。
娘はママの話はよく聞く。
二人の会話には専門用語が混じるから、パパには何を言っているのか分からなくなる。
言葉も通じない奴につべこべ言われたくないのだろう。
そう得心して、娘に提案してみた。
「(試合について)何も言わないから、パパも試合を観に行ってもいいかなぁ」
・・・娘は聞こえないフリをした。
チーママの言っていることの方が正しいのだろうか・・・。
今日も帰ってくると「スピードをしよう」と誘われた。
「夕はんを食べてから、1回だけだぞ」などと勿体つけたりする。
今日はパパの完敗だった。
娘のために、パパがしてあげられることがどんどん少なくなる。
成長しているということなのだけれども、少し寂しい思いがしている。
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