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2009年1月 4日 (日)

箱根駅伝

お正月といえば、箱根駅伝だ。
ぬくぬくと暖かい部屋で、家族・親戚に囲まれて、酒を飲みながら、1本の襷をめぐる物語を居眠りしつつテレビ観戦していると、ほろ酔い気分も手伝って、天下泰平、これぞ「正月気分」といった幸せな心持ちになってくる。

毎年、楽しみにしている箱根駅伝だけれども、観戦しながら話をしていると、驚くほど過去の記録を覚えていないことに気がつく。
私は昨年の優勝校は順天堂大学だと思っていたけれども、調べてみると順天堂大学の優勝は一昨年のことで、昨年は往路・早稲田、復路・駒澤で総合優勝は駒澤大学だった。昨年のことすらはっきりとは覚えていないのである。

早稲田、順天堂、日体大が伝統校で、大東文化大、山梨学院大、神奈川大が新興勢力、近年は駒澤の天下というのが私のぼんやりとしたイメージ。
記録をひも解いてみるとそのイメージは確かではあるけれど、82回大会優勝の亜細亜大学はまったく記憶になく、逆に72回大会優勝の中央大学を鮮明に覚えていたりする。
http://www.ntv.co.jp/hakone/85/date/date_02.html
人の記憶というものは、まったく当てにならない。

どんなことを記憶して、どんなことを忘れてしまうのか。そのメカニズムはどうなっているのだろう。
私の場合、箱根駅伝に関して言えば、途中棄権とか、襷がつながらず繰り上げスタートとか、悲しい場面が記憶に残っていることが多い。
最も鮮明に記憶しているのは、山梨学院大学・中村祐二選手。
箱 根で走ることに憧れて、実業団から山梨学院大学に転じた中村選手は、1年生のときに3区区間賞、2年生のときに2区区間賞の成績で連続優勝に貢献。期待さ れて臨んだ96年の72回大会の2区でまさかの失速。脱水症状を起こし、ふらふらになりながら、前に進もうとした。しばらく伴走していたコーチが見かねて 中村選手の身体に触れ、途中棄権(失格)が決まった。泣き崩れる中村選手・・・。
翌年、中村選手は同じ2区で区間賞の快走で雪辱を果たすけれども、山梨学院大学は総合2位に終わった。

今年の箱根は、2区での日本大学・ダニエル選手の20人抜き、5区で東洋大学・柏原選手の9位から逆転でトップに躍り出る快走、復路での東洋大学と早稲田大学のデットヒートと見所が満載だった。
意地と意地のぶつかり合いのようなデットヒートを観ながら、居眠りをしながら、そもそも箱根駅伝というのはどんなきっかけで始まったのだろうと考えた。

そう思ったのにはきっかけがある。
昨年の暮れ、仕事上の必要で古い写真を集めていた。
全共闘世代で関西の大学にいたOさんから提供された写真の中に不思議な写真があった。
乳母車に乗った学生が京都駅前の横断歩道を渡っている写真だ。
「これは・・・?」とOさんに訊くと、「学生はヒマなんでね。乳母車で京都を一周しようという下らないことを考えたんだな」ということだった。
箱根駅伝も、もしかすると、そういった「ヒマを持て余した学生の下らない思いつきがはじまりかもしれない」なと思うと楽しくなった。
「箱根までどの大学が先に着けるか、競争しようぜ」
そんなことではじまったことがこれだけ大きな大会になったのだとしたら、痛快だと思った。

調べてみると、「アメリカ大陸縦断駅伝」構想が元になり、その予選会として「箱根駅伝」が開催されたことが分かった。
http://www.ntv.co.jp/hakone/85/story/01_prologue.html
想像を超えた痛快さだ。

箱根駅伝は日本テレビが完全生中継している。ずっと前からそうだったように思っていたけれども、日本テレビの中継は87年からなのだそうだ。
第1回大会は、1920(大正9)年、出場校は早稲田、慶応、明治、東京師範(現筑波大学)の4校。
選手を揃えることすら難しい時代だったようだ。

箱根駅伝は今も基本的には学生の手で運営されている。
箱根駅伝が現在の隆盛を迎えたのは、日本テレビが中継し、サッポロビールがメインスポンサーになったことが大きいとはいえ、きっかけは、学生の希有壮大な馬鹿馬鹿しい思いつきだ。
そうした馬鹿馬鹿しいことを思いつき実行に移すだけの自由な雰囲気が若い人たちの間にあるだろうか、それを許容するだけの余裕が社会にあるだろうか。
社会の活力というのは、実行力のある若者たちが無鉄砲にはじめることを許容する余力がどれだけあるのかということかもしれないと思う。

「アメリカ大陸縦断駅伝競走」とか「シルクロード駅伝競走」とかが実現できたら、それは面白いだろうなと思う。

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