道路特定財源
どうなる?道路特定財源の一般財源化 自民党内に強い抵抗
道路整備に限定した揮発油税などの使途を自由にする、道路特定財源の一般財源化に対し、与党内の反対論が勢いを増している。来夏の参院選をにらみ、自動車利用者の反発、道路整備を求める地方の声を意識したものだ。だが、一般財源化は安倍晋三首相が所信表明演説に盛り込んだ施策。24日には、自民、公明両党の幹事長、政調会長が方針を確認している。27日から議論が本格化する自民党税制調査会(津島雄二会長)での激論は必至だ。(田中靖人)
■議員144人出席
「この件は決着したも同然だ」
道路特定財源の一般財源化に反対する渡文明石油連盟会長が早々と“勝利宣言”したのは10月24日のことだった。この日行われた決起大会には自公の衆参両院議員144人が出席。ほぼ全員が「反対の決意表明」をしたのだ。
自民党では、道路調査会長代理に就任した笹川堯氏が公然と反対を表明。今月20日から議論を始めた調査会のプロジェクトチーム(PT)では「一般財源にすべきだとの意見は一つもなかった」(宮沢洋一座長)。財務省出身の議員まで「全部を一般財源化するのはムチャだ」と話す。
公明党も、太田昭宏代表が「道路関係に使うのが基本だ。暫定税率を下げないなら高速道路料金引き下げとかに使うのが望ましい」と発言したほか、「現段階では納税者の理解が得られない」(党幹部)と消極的だ。
■参院選への懸念
反対派が懸念するのは自動車ユーザーと自治体の反発だ。自動車関連4団体は利用者887万人分の署名を盾に「前回参院選比例区での自民党得票数の半数に相当する」と露骨な宣伝を展開。参院議員の1人は「郵政民営化反対の署名に匹敵する」と参院選への影響を危惧(きぐ)している。
一方、全国知事会などは「地方の道路整備は遅れている」と主張。24日の自民党PTでは、全国市長会の代表が全市町村の97・5%に当たる1771団体分の署名を提出。出席議員から「一般財源化して参院選をすれば自民党は崩壊する」との声が出たほどだ。
こうした事態に、自民党の片山虎之助参院幹事長は15日、「制度見直しは来年でもいい」と結論の先延ばしを提案。津島党税調会長も「道路整備のために我慢して払っている税なので、納税者が納得する議論が必要だ」と後ろ向きだ。
すでに、道路特定財源全体の一般化は争点から姿を消し、旧本州四国連絡橋公団の債務返済終了などで19年度に発生する余剰金5000億~7000億円をめぐる駆け引きに議論が移っている、との見方さえある。
■財政再建への試金石
国税分だけで3・5兆円を超える道路特定財源の一般財源化は、小泉純一郎前首相が指示したものだ。全国の道路整備という役割は終え、無駄な道路は建設しない、という判断に加え、「抵抗勢力」と見なした道路関係議員の影響力の源泉をそぐ目的もあった。
政府・与党は昨年12月、(1)税収の半分が上乗せされている現行の暫定税率を維持する(2)一般財源化を前提にする(3)納税者の理解を得て具体案を取りまとめる-との基本方針にこぎ着け、政府は7月の「骨太の方針」で、取りまとめ期限を「年内」とする閣議決定をしている。
道路特定財源の行方は、安倍政権の財政再建への姿勢を占う問題になりつつある。
「一般財源化に賛成なのは小泉前首相ただ1人か」(国交省幹部)との声が漏れ、「基本的には与党で議論してもらうことだ」(塩崎恭久官房長官)「政府が案をまとめるならそれに越したことはない」(宮沢PT座長)と政府・自民党ともに腰が重い中、首相がどう司令塔役を果たすかがカギになる。
(11/25 22:25)
道路特定財源が、道路を整備するために作られたものなら、道路の整備にお金がかからなくなったら、減らすなり、なくすなりしたらいい。それだけの話ではないのか。違うのか。
<道路特定財源>
(国)
・揮発油税(48.6円/ℓ・本則24.3円/ℓ)
・石油ガス税(17.5円/kg)
・自動車重量税(自家用乗用車の場合、6,300円/0.5t/年・本則2,500円/0.5t/年)
(地方)
・軽油取引税(32.1円/ℓ・本則15.0円/ℓ
・自動車取得税(自家用自動車の場合取得価格の5%・本則3%)
・地方道路税(5.2円/ℓ・本則4.4円/ℓ)
などがあるそうだ。
そもそも法律で決まった後、やっぱり足りないからと言って、税率を上げているのだから、余るようになったのなら、もともとの税率に戻せばいい。シンプルに考えればそうじゃないのか。
小泉さんやそれを引き継いだ安倍さんは、「新たな税源を作れば、納税者から反発がある。選挙にも影響がある。せっかくすでにもらっているもので、この先余りそうなら、他の足りない分の穴埋めに使おうぜ」と言っているわけだ。
それに対して、いわゆる道路族という人たちは、「それでは納税者の理解が得られないから、一般財源化すると選挙に負ける」とか言っているけど、それは、納税者の理解が得られないからではなくて、道路特定財源という潤沢な資金を使って、「この道路は私が通しました、私って使えるヤツでしょ」と選挙民や土建屋さんにいい顔ができないから選挙に負けると思い込んでいるのじゃないかな。これは穿った見方か。
さらに、地方の首長は「まだまだ道路は足りない」とか言っている。本当かなぁ。傍目にはこんなところにこんな立派なものを作ってどうするんだろうっていうような道路もたくさんあるように思うけれど。
もっとオープンに本音をぶつけ合う議論をしたらどうだろう。マスコミは真っ直ぐにとそれを伝えたらいい。
道路特定財源は受益者負担の観点から作られたものだから、それを別の用途に使うのは法律の精神に反すると思う。税収が足りなくて、必要とされていることができないのなら、堂々と同じ精神で受益者負担の税金を新たに作ればいい。ちゃんと説明すれば、分かってもらえるはずだ。誤魔化そうとするのが一番良くない。
傍目には必要のなさそうな道路でも、切実にそれを必要としている人がいるのなら、そう言えばいい。わずか数十人の住む集落に数十億円の税金を投じてトンネルを掘るのだって、やぶさかではない。そのへんの優先順位の決定は選良が徹底した議論の末に決めることになっている。
わが国国民は、崖に取り残された野良犬一匹の命を救うために大騒ぎする心優しい国民性だ。トンネルひとつで、ばあちゃんひとりの命が救われるのなら、誰も文句は言うまい。
本音を見え隠れさせながら、建前論しか言わない議員。それを歪んだ形で伝えるマスコミ。どちらもいいかげん目を覚ましたらどうだろうか。
「政府・与党は昨年12月、(1)税収の半分が上乗せされている現行の暫定税率を維持する(2)一般財源化を前提にする(3)納税者の理解を得て具体案を取りまとめる-との基本方針にこぎ着け、政府は7月の「骨太の方針」で、取りまとめ期限を「年内」とする閣議決定をしている。」のでしょう。そして、それを含めて小泉総裁の政策を継承すると言った安倍さんを総裁に選び、総理にしたわけだから、今さらそれに反対するのは、郵政民営化に反対した人たちと同じ扱いを受けても文句はないということなのだろうか。安倍さんはきっとなめられているのだと思う。納税者がどの程度理解しているのか、解散総選挙をやってみればいい。
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